斜里岳北壁

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2012年2月25日(土)・26日(日)
メンバー K村さん、oyama
 
 ここ数年、最も山行を共にしてきたパートナーが春にも十勝を離れる事となった。残される身はさびしい限りだが、こればっかりは仕方ない。やり残した山は?と聞くとかえって来た応えは「斜里岳北壁」。もちろん異論はなく、長く懸案となっていたルートへと向かった。


○2月24日(金)
20:30 幕別 0:15 C0:斜里町豊里車止め
 ほぼ1年振りの斜里岳。珍しく幕別に集合し、夜の道東田舎国道をすっ飛ばして、先行していた北稜Pのkameさん、H江さん、T田と東藻琴で合流。約3時間半と思っていたよりも短い(?)ドライブで車止めの斜里町豊里に到着しC0。今回は他にも帯労から西尾根から登るパーティーがおり、実に10人近くが斜里岳に入る事になった。


○2月25日(土)
7:20 C0 9:00 玉石の沢出合 10:15~11:00 C1設営  11:50 北西稜上(シーデポ) 13:00 北西稜上トラバース開始 14:30 北北西稜取り付き 15:45 稜線 16:15 斜里岳頂上 16:45 シーデポ地点 15:15 C1

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 C0朝食恒例のカップラーメンでお腹を満たし出発。まずは広々とした牧場を突っ切り、林道に出る。正面には斜里岳が綺麗な姿で聳え立つ。まさにオホーツクの“利尻”。本当に絵になる山だ。天気は予想通り朝から快晴。青空に斜里の白い頂きが良く映える。
 林道をうまい具合にショートカットして、夏道登山口付近から沢沿いに進む。登攀具が入った重いザックと強い日差しで林道を歩き終わる頃には、ジュケットを脱いでも汗だくになっていた。

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 アタックポイントとなるC1は斜里岳が遠望できる疎林帯に設置。北稜Pも同じ場所にC1を設置し、時間はまだ十分あるのでそれぞれルートの偵察、試登へと再出発。僕らとしては明日の天気がかなり悪い予報となっているので出来れば今日中に北壁を登れるなら登りたいという考えだった。

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 テン場からもう少し沢を詰めてから北西稜に一旦上がるべく、斜面に取りつくが上部は結構クラストしており、スキーのシールが効きにくかった。K村さんは最後はシートラして北西稜に上った。ここでスキーをデポしてアイゼン。

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 北西稜からは北壁、そして北稜が良く見える。北壁基部までのトラバースラインを探りながら進むが、なかなか良いラインを見つけられないまま高度を上げていく。天気は快晴で風もなく最高の条件。西尾根をみると4~5人の人影があり、こちらに手を振ったりしている。おそくらうちの会の西尾根Pに間違いないだろう。

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co1250m付近で、雪崩の危険性が低そうな斜面にトラバースラインを決め、まずは北壁手前のリッジ下部の三角形の岩壁を目指す。(写真の赤丸の場所)


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 トラバースした斜面。雪崩の危険もあるので距離をあけて進む。

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 北稜上をみると人影が見える。kameさん達だ。

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 振り返ると、斜里の町、そして流氷が広がるオホーツク海を俯瞰出来る素晴らしすぎる眺望。最高だ!風もなく天気はますます良くなる一方。午後からは雲が広がるとの予報は一体どこへ行ったのか?

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 急な斜面を詰めて目指していた三角の岩壁下まで。ここには快適なビバークポイントがある。さらに北壁を目指すべく、左へと岩壁基部を回り込むが・・・。

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 しかし、ここから北壁基部へはルートがつながらなかった。僕らが着いたリッジから北壁の間には深いルンゼが入り、懸垂下降しないと降りられそうもなく、さらにそこは見るからに雪崩そうな斜面がある。ここを行くのはあまりにリスクが高い。北西尾根から北壁に取りつくならもっと高度を上げてから取り付くべきだった様だ。
 僕らに残されたのはこの“北北西稜”とも言うべきこのリッジの登攀のみ。少しでも楽しそうなルートを探し、少し左手の凹角に取りつく。

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 時計を見ると既に14時半。いくら天気が安定しているとはいえちょっと急がなくてはならない。ところが、ブッシュもあって簡単そうに見えたルートも取り付いてみると、意外とイヤラシイ。ブッシュが邪魔でバイルが思うように振れないし、雪付きもあまり良くない。

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 イボハーケンとブッシュでランニングを取って、45mで雪田に抜けたが、最後はザイルが重くて参った・・。セカンドのK村さんは疲労からか足がつり気味でつらそうに上がってきた。ここでザイルを解き、すぐ上の北西稜にあがった時には15時半を過ぎていた。

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 少し迷ったが、1時間半もあればテン場に戻れると判断して、頂上を目指す。ここからは西尾根パーティーのトレースがあったので楽チンだった。

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 久しぶりの斜里岳の頂上。眼下に広がるのは素晴らしい景色。快晴無風の頂上、文句なしだ。K村さんにとっては初めての斜里岳頂上。どうでしたか?

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 雲海とサンピラー。たまにはこんな穏やかな冬山の頂上っていうのも悪くない。ゆっくりして居たかったが、日の傾きが急になってきた。北稜パーティーはもうとっくにテン場に戻っているはず。慌ただしく僕らも頂上を後にする。

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 夕日に染まっていく斜里岳。北西稜からの下りのスキーは思いのほか雪質良好でテン場まで短いながらも楽しい滑降となった。暗くなる直前にテン場帰着。長い一日だったが、心地よい疲労感と充実感。我慢できずに隣のテントから顔を出したT田からウイスキーを頂く。最高に美味い一杯だった。


○2月26日(日)
6:10 C1 7:15 シーデポ  10:40 取り付き 12:40~13:00 斜里岳頂上 14:20~15:00 C1撤収 16:15 C0(車止め) 

 出発前の天気予報ではこの日は大荒れとのことだったが、夜は満点の星空だったし、起きて外を見るとそれほど荒れてもいない。とにかく行ける所まで行こうと北稜Pと共に出発。

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 この日は前日と違うルートで北壁へのアプローチを試みた。雪崩の危険性が高いが時間的には一番早いと思われる玉石沢を詰めてそのままダイレクトに北壁に向かうというルートだ。北稜Pと別れた後、co900m位でスキーデポ。視界が悪く正面に見えるはずの北壁はガスの中。両側壁が門のように聳えたつゴルジュの様な中を雪崩に気を使いながら進む。

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 そこを抜けると一旦広くなるが、ここは時期によっては雪崩の巣になるのではないだろうか。奥に通称“のど”と呼ばれる場所が見える。釧路労山の記録では幅5m長さ100m位とのこと。見るからに雪崩そうで、ここを通過するのは避けることにして、右手から大きく迂回することとする。

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 この辺りから徐々に上空は青空が広がりだし、強めだった風も次第に弱まりだす。

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 北壁基部に近づくにつれ傾斜は増していく。結局、アックスが良く効いたので基部までノーザイルで行けた。

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 基部についてルートを探る。いくつかルンゼが走っていてルートはいくつか取れそうだが、どれも手ごわそうだ。今回はとりあえず北壁を登るということが第一との認識(ちょっとした甘えか?)で、北稜よりのカンテをK村さんリードで取り付く。40mほど少々被っているところもあるが、雪付きもよくプロテクションも取りやすい気持のよいルートだった。

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 2P目はリードを交代。ボロボロと崩れる5mくらいの雪壁を超えると次第に傾斜が落ち雪田となり、頂上が視界に入りだす。見るとと見覚えのある人影が・・。北稜パーティーだ。1P目をK村さんが登っているときも「ガンバレー」とか声が聞こえたが、ひと足早く頂上に着いたようだ。

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 上3枚は頂上にいた北稜パーティーのkameさんが撮った写真。2P目の終了点から頂上までの写真。天気は昨日同様に快晴、無風、そして雲海。

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 辿り着いた頂上にて感謝の握手。K村さんとでなければ来れなかった北壁。今冬でもっとも充実感のある頂きだったことは間違いない。

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 北西尾根を下る北稜P3人を見送った後、僕らも北稜から下山。トレースがあったおかげでテン場までは僅か1時間ほどであった。

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 テン場に戻る直前に撮った北壁全貌。北壁真下の細い部分が“のど”。

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 牧場まで降りてきてふと振り返る。冬の斜里岳は何度見ても見飽きる事がない。特に北側からみると登攀意欲をそそる北稜と北壁が望めてこれまた素晴らしい眺めなのだ。何かもう帰ってしまうのが勿体ないような気がして何度も振り返りながらの下山となった。帰路は斜里温泉、そして美幌の大盛り喫茶店「茶居夢」でさらに満足・満腹。“斜里部”の定番コースとなるか!?



 斜里岳北壁は想像以上に魅力的であった。今回が僕にとって北壁の第一歩となるはず。もっと実力をつけて、この北壁に美しくしそしてエキサイティングなラインを引きたい。二日間とも素晴らしい好天に恵まれ、そして新たな課題が発見できて最高に充実した山行であった。十勝からは少々遠いいが十分に挑む価値はある。
 






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この記事へのコメント

naokiss
2012年03月02日 20:34
あーステキだ!!
写真と記録を見ると,行けばよかったかもとプチリグレット。

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  • 完登おめでとう!

    Excerpt: [画像]     ※写真は「日高キチガイ~沢と焚火と雪稜を求めて~」より転載。  帯労の友人が斜里岳北壁を登った。  登る前から、いろいろ問い合わせがあったのだが、何も手助けしてあげることが出来な.. Weblog: 大好き!Mt.Onne racked: 2012-03-07 19:22