2012年9月1日~2日
メンバー Y形さん、若葉さん、oyama
日高の沢に初めて足を踏み入れるなら僕は間違いなく中ノ川水系を勧める。その広い水域には日高でも指折りの険谷である中ノ川右股沢と岳の沢、ひたすら泳ぐことを強いられる支五の沢、そして神威岳北東面沢。特に僕が好きなのはこの北東面沢だ。十字峡までの長い川原歩きは慌しい日常から非日常への世界へ誘い、日高の奥深くへと来たことを実感させてくれる。やがて谷は狭まり、岩盤状の側壁が屹立する長大なゴルジュ帯が遡行者の行く手に現れる。このゴルジュ帯を抜けると一転して渓は開け、美しいナメ滝や大滝・小滝が源頭まで連続し、頂上へと一直線に突き上げる。“起承転結”が揃っているほど美しい沢だと僕は思うのだが、その最も理想的な渓相を持つ沢の一つがこの神威北東面沢なのだ。
○8月31日
19時丁度に大樹の道の駅で集合、2時間で神威山荘に車をデポして再び道の駅に戻って来たのは23時。Y形さんは「日付が変わる前に酒が呑める~。」と喜びの一声。
○9月1日
7:40 中ノ川林道車止め 8:45 支五の沢出合 9:50 入渓 12:30 430三股 12:50 岳の沢出合 14:00 C1奥二股
2時間の単調な林道歩きに汗だくになり、ようやく入渓。透き通るエメラルドグリーンの沢は美しいが、連日30度越えの残暑のせいで中ノ川は見たことのないほどの大渇水。考えてみればお盆を過ぎてからまとまった雨は降っていない。
400mS字状函滝。ここも水量が少ないので中をいけるかも!と思い偵察したが、やっぱりルートを見出せず、定石どおり左岸から巻く。この函滝って突破した人っているのかな~。
430m三股。ここは中ノ川のスケールを実感できる場所なのだが・・・。右股沢の出合までは泳いで中を行く。はじめて沢で泳ぐwakaさんは「えっ、泳ぐんすか?!」と驚きの声。だって泳がないと突破できないでしょ。あくまで水線沿いの突破を目指すのが沢屋の基本(?)
奥二股手前の函も通常は右岸から巻くのだが、今日ならば、と中央突破を試みる。
中には2個の小さな滝がある。1個目は3mの桶状の滝をツッパリで越えるのだが、wakaさん見事に失敗!もちろんこの後ちゃんと越えましたが・・・。
二つ目の釜を持った滝は左岸からへつって流木を利用して抜ける。ここは流木がなかったら結構厳しかったかもしれない。
C1は奥二股を左股にちょっと入った河原。流木も豊富にあり、豪勢な焚火と美味しいご飯そしてお酒で快適、幸せな一晩となった。
○9月2日
5:10 C1 6:50 627m 9:00 740m二股 12:25~12:55 神威岳頂上 13:55~14:10 夏尾根取付き 15:30 神威山荘(下山)
気合充分に5時出発。この時期の朝イチは沢の水の冷たさがキビシイのだが、沢に足を入れた途端、「おっ、ぬるい。」。う~ん、9月の沢とは思えない・・・。
奥二股からはすぐに北東面沢の核心部が始まる。ここはトップが空身でザイル引っ張り泳いで突破。
残念ながら核心部のゴルジュ帯も春の底雪崩の影響と思われる流木が大量に堆積していた。ここ数年、特に今年はひどいがこういった流木や土砂が堆積している光景が目に付くようになった。
この沢は水に浸かるのを躊躇していては突破できない。もちろんしっかりと水流を読む能力が必要。はじめはちょっと腰が引けていた若葉さんもどんどん突っ込む。
この日は朝から雲ひとつない快晴。まさに沢日和。
この函滝はさすがに直登不可能で右岸から巻いた。写真で見るとなんか行けそうなんだけどなぁ~。
627m屈曲点より上部の300m続くゴルジュは渇水のためやや迫力不足。ザイルをつけずに割りと簡単に突破することが出来た。水量が少ないと確かに遡行は楽なのだが、ここまで少ないとちょっと残念な気がする。
核心部を抜けた後もしばらくは函状の渓相が続く。
次第に渓が開けると20~30m程のナメ滝が断続的に現れる。いずれも直登出来るが高度はあるのでスリップだけしないように慎重に登る。
1000m二股はこの沢で最も美しいところ。中央の台地上にはテン場があり、一度で良いからここでのんびりと焚火をして一晩を過ごしたかった。残念・・・・。
ここより上部も快適に直登出来る小滝が源頭部まで断続的に続き飽きることはない。Y形さんも「いや~、良い沢だね~。」とこの沢を気に入った様子。
源頭からは薄い藪を漕いで頂上を目指す。背後は日高の山々が広がる絶景。ソエマツからピリカの南日高三山、そしてペテガリから1839峰、コイカクと中南部の日高の主峰が全て見ることが出来た。最高の天気!!
晴れた頂上は本当に気持ち良い。休んでいると帰るのが億劫になって来てしまう。明日も日高の山に登れればいいのになぁ~。下りの夏道は9月とは思えない炎天下の中転がるように下山した。
今回がはじめての沢での泊まりだった若葉さんもおそらく北東面沢を楽しんでくれたと思う。中流部のゴルジュ帯は流木が堆積したのが残念だが、上流部の美しさはやはり格別。遡行し終えて余韻に浸れる素晴らしい沢であることは変わらない。
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