前穂高北尾根!

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2014年3月3日~7日 前穂高北尾根~明神岳南西尾根
メンバー:O俣、I瀬、oyama

 名古屋に来て1年半弱、一番充実した、納得できる山行だった。久しぶりに今の自分の精一杯を出した山行。冬の北アルプスはやっぱりキビシイ世界だった。日本を代表するバリエーションルートの一つ、前穂北尾根に残雪期ではなく冬期(ギリギリ厳冬期?)に行けたことは自分の中でも大きな成果だ。長いアプローチ、深いラッセル、息を呑むような迫力ある雪稜、細いリッジ、ラテルネの登攀、暴風の中の停滞と行動、震えるビレイ・・・・・冬山の醍醐味を思う存分楽しめた山行でもあった。考えてみればここ2,3年長期で冬山に入ることはなかった。長期山行の楽しみ(辛さ?)を思い出させてくれた5日間でもあった。

○3月3日:釜トンネル~慶応尾根
7:35 釜トンネル
11:15 徳沢
11:55 新村橋
16:40 C1:2100m付近
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 前日、それぞれ仕事を終えてから春日井にて合流。浜松のO俣君とは初対面。若さ溢れる20代、そして今回の頼れるリーダーだ。休憩とりつつ沢渡駐車場まで。車中でわずかに仮眠・・・・。
明るくなってから釜トンネルまで移動。いよいよ冬の北アルプスへの第一歩。トンネル内は傾斜もややあり、結構長い。

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 釜トンネルを抜けると北アルプスの山々が目に飛び込んでくる。空気も一段と低くなったように感じる。

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 歩きはじめてから1時間半ほどで上高地のバスセンターに到着。奥にガスで隠れているのが明神岳重い荷物が肩に食い込み早くも辛い。さらに辛いのは寝不足。歩いていても眠くて眠くてフラフラして何度もトレースを外してズボっと片足だけ埋まるというようなことがあった。ちなみに徳沢まではスノーハイクなどで入山者が結構いるのでトレースがバッチリ付いている。この日も平日にもかかわらず4,5人とすれ違った。

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 上高地を過ぎたあたりから天気は徐々に良くなり、快晴になった。徳沢からはトレースが消えた。ここから辛く長いラッセル地獄の始まり。

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 蒼い空に北尾根がよく映える。次第に目の前に迫ってくるその姿に圧倒されそうになる。新村橋を渡り梓川に別れを告げ、治山運搬路という作業道をしばらくはたどる。ラッセルで暑く、ウエアを重いザックに仕舞い込む。

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 作業道をそのままたどっていくと奥股白谷に入り、堰堤をいくつか越えてから1798を過ぎたコル目指して慶応尾根に取り付く。が、この取り付きがなかなかキビシイ、腰まで潜るようなラッセルに苦しめられ、大いに時間と体力を消耗した。

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 慶応尾根は傾斜もあり、膝上近くまでのラッセルでなかなかペースが上がらない。3人で交代交代ラッセルを回すが、次第に消耗が激しくなる。

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 実は3日目以降の相当天気が荒れるという天気予報だったので、今日中に8峰(2631m)まで行きたかったのだが、とてもじゃないがムリ。16時半近くまで行動したものの標高差500mも足らずに行動停止。これ以上ひっぱても翌日以降に体に負担が出過ぎると判断。静かに暗闇に落ちていく穂高を見ながらテントを設営。

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 夕飯は初日は豪勢なおでん。今回のシェフはO股君。素晴らし軽量化で充実の食事でした。疲れもあって水を作ったあとは早々に眠る。

○3月4日:慶応尾根~北尾根
6:20 C1(3時間)
9:20 八峰
19:20 C2:三・四のコル
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 素晴らしい朝日とともに二日目はスタート。まずはサクっと八峰を目指す!

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 樹林帯を抜けると北尾根が目の前。しかし、重いザックとラッセルが朝からキツイ。

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 2時間と見ていた八峰までは3時間ちょっとかかった。だが、前日に引き続いての快晴がそこまで時間的な深刻さを認識させなかった。ここより先に突っ込んだらもう抜けるしかないのだが、そこまで考えることなく、突っ込んだ。

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 八峰からは素晴らしい眺望の中の登行となった。右手には真っ白な涸沢カールを挟み奥穂高、涸沢岳が白い稜線に連なり、美しい。

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 七峰手前から痩せたリッジが現れ、緊張感が高まる。ラッセルも深く、ルートファインでイングに苦労することも多くなる。深いラッセル、ナイフリッジ、連なる白い稜線、ふと北海道で冬の日高に通っていた時を思い出した。
カムエク、1839峰、ペテガリ、ピリカヌプリ、スケールは北アルプスには及ばないが、厳しい寒さと奥深さは同等以上のものがあったと思う。

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急斜面のトラバース、見えるのは六峰。この登りは急な灌木帯と雪壁が交互に出てきた。ここで初めてロープを使用した。見た目は簡単そうだったが、出して正解。結構やらしかった。ロープを出そうといったO股君の判断力はさすが。若いのにすごいな~と何度も今山行中思った。

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 六峰を越えると目の前には五峰。次々と難関が現れる。

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 五峰の手前には高度感のあるナイフリッジ。不安定な雪が乗っており、一歩一歩慎重に歩く。

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 急なルンゼ状の雪壁をダブルアックスで抜ける。かなりクラストしており、アイゼンが刺さりにくところもあった。

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 今度は四峰。一旦コルまで下ってからの登り返しはかなりキツイ。少し上がってからロープを出すが、時間は既に5時近く。三峰を越えてC2をつくりたかったが、現実的に相当キビシイ。気づけば稜線はガスの中。天気は既に悪化の兆しを色濃くしており、気持ちが焦り出す。
 2ピッチで抜けたが、各々体力を消耗しておりかなり時間がかかった。リードの僕はまだよかったが、ラストはヘッドランプを付けてのフォローとなった。 
 一同、疲れもあってかなぜかここで既に三峰を越えたのではという話になったが、少し先に進むと暗闇の中にドーンと巨大な岩峰が浮かび上がり、これが明らかに三峰。これをラテルネ登攀で越えていく余力は既になく、三,四のコルをC2とするしか選択肢はなかった。19時半近くになっており、長い一日がようやく終わった。


○3月5日:悪天候のため停滞
C2=C3
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 昨日の夜から吹雪。風も強く、早々に停滞を決める。昨夜は疲れてあまり食欲もなかったのでいい休養と前向きに捉えようと考える。2時間おきくらいに交代で除雪に出る。気温が急激に下がっている。テントから出るとマイナス20°は超えているだろうか。
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 除雪中目の前の三峰を見上げる。ひっきりなしにチリ雪崩が起きている。やはり今日の登攀はかなり厳しかっただろう。まだいくつも核心が残っている。あす動かなければ明後日の下山はムリだが、天気予報はあまり芳しくない。悪い条件が重なり、心理状態がみな悪く、会話も弾まず無口になる。重い空気の停滞だった。

○3月6日:北尾根~明神岳
6:30 C3 13:30 三峰 14:20 前穂高岳頂上 16:20 C4:明神岳北側手前コル

 
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 天気は多少落ち着いたか。ただ、非常に寒い。撤収も時間がかかってしまった。テン場のコルからちょっと上がった。テラスからロープを出して三峰の登攀スタート。
 残念ながらここでカメラが不調となり、以後の写真はなし。

 この日はリード全てO股リーダー。すべてのピッチが悪かった。一昨日からの降雪でスタンス、ホールドは雪と薄い氷に覆われ、残置支点も見つけにくい状態。ダウンジャケットを着ながらのビレイでも震えが止まらないくらい寒く、手足の感覚は常に凍傷のリスクが付きまとう。重いザックに疲れた体ではリードもフォローも時間がかかる。結局抜けるのに7時間程を要してしまった。
 三峰からは二峰の懸垂を経ても頂上まではさほど難しいこともなかったが、やはりラッセルがあり、一歩一歩が重く辛かった。
 前穂についてもあまり感慨はなかった。ここから明神岳を経ての下山も遠く、困難が予想された。天気は視界があるだけまだマシだった。
 この日は少しでも先に行きたかったが、明神岳手前で行動停止。三峰の登攀で体力を使いすぎたのかもしれない。あまりにペースが悪かった。

○ 3月7日:明神岳~明神岳南西稜~下山
6:50 C4 
8:00 明神岳 
12:45 明神岳5峰
17:30 上高地バスターミナル
19:20 釜トンネル(下山)

 いよいよ最終日。今日こそ脱出しなければ。体力気力を振り絞るのみ。明神岳本峰の登りでも慎重にロープを出して2ピッチ。この日はリードさせてもらった。
 意外と悪かったのが、明神岳二峰の登り、ルートがわからず、右往左往して時間をロス。正面壁を左にトラバースしてから凹角に入る。このトラバースが悪かった。ここまで来てのミスは致命的なので焦る気持ちを抑えて慎重に慎重に・・と呟きながら行動する。
 五峰には昼過ぎに到着。ようやくここまで来たが、まだ油断できない。南西尾根は地形が複雑なので地図とGPSを睨みながらの下山となった。それでも一度違う尾根を下ってしまい、1時間ちかくロスした。南西尾根もかなり細いリッジが連なり、予想以上にシビアだった。途中沢筋に入ったが、腰までの積雪になり、雪崩の恐怖が付きまとった。それでも次第に高度を下げ、梓川が近づいてくることが疲れた体に力を与えてくれた。
 夕方近く、ついに岳沢に降り立つ。ようやくここで無事に帰れることを確信。あとは長い林道をたどるだけ。足先が軽く凍傷になったようで感覚が薄いのがちょっと気がかりだった。下で心配している人の顔をそれぞれ思い出しながら最後の気力を振り絞る。大正池あたりでラテルネとなり釜トンネルまでたどり着いたのは19時を過ぎていた。メンバーそれぞれと握手を交わし、長い5日間を締めくくった。

 
 

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