ピリカヌプリ・ソエマツ沢北西面直登沢

2011年9月17日(土)-19日(月) 
メンバー kameさん、T田、oyama
 ピリカヌプリは日高でもお気に入りの山の一つだ。そして、ピリカへの直登沢で最後に残ったのがソエマツ沢北面直登沢。これを登ればピリカの完全遡行になる。サッシビチャリ沢とどちらにするか悩んだが、秋の沢旅第1弾はピリカに決まった。メンバーは完全に沢キチガイになりつつあるkameさんとT田。どうやら“キチガイ”はうつるらい・・・。

 
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○9月16日(金)
19:00 帯広 21:00 大樹 23:30 C0:ソエマツ沢林道ゲート
 今回も前泊。快適なC0を求めて浦河の片田舎をウロウロするが、どこもイマイチ。結局林道まで車を走らせ、ソエマツ沢林道のゲート前で車中泊。これまたいつもの様にビール1本で爆睡・・・。

○9月17日 曇りのち雨
17日 9:45 車止め発 10:35 404m二股 12:30 C1:574m先 
 日ごろの行いが良い僕らは神威岳・南面直登沢出合(350m)付近の林道終点まで車で入ることができた。最悪3時間近い林道歩きを覚悟していたのでこれは大きい。初日の行動がイキナリ楽となった。ラッキーだ。

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 404m二股までは作業道をうまく見つけて時間短縮。ソエマツ沢は想像していたよりも広い河原が続く。ソエマツ沢に入るのは今回が初めてだが、元浦川の一つの支沢にすぎないと思っていたがそんなイメージは間違いだったようだ。
 空は分厚い雲に覆われ時折強い雨が降っては止みを繰り返す。そのくせ蒸し暑く歩くと汗ばむ。どうにもすっきりしない天気だ。404mはソエマツ岳に至る南西面直登沢との分岐。この沢もいずれ遡行してみたい。中の川と繋げたら素晴らしい沢旅となるに違いないだろう。

 
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 予定では680m二股付近でのC1を予定していたが、良いテン場がなく574m二股を少々過ぎた右岸状でC1。河原が狭くなりだすところで砂地もあり快適だ。テントを立ててる最中から雨が強まりだす。

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 雨の中、煙草を吸いつつ焚き火に執念を見せるkameさん。しかし、無情にも雨は降り続け奮闘報われず。今回は雨天が予想されたのでツエルトではなくテント。なのでいくら雨が降っても快適。行動停止が早かったのでこれまたいつかと同様に早々にウイスキーを飲みだし、さらに昼寝までする。ある意味贅沢な(?)時間の過ごし方。19時前のNHKの天気予報を聞いて就寝。

○9月18日 雨時々曇り
5:50 C1 6:05 680m二股 8:10 890m 道間違い~ 9:30 再び890m 11:10 1190m二股 12:40 ピリカヌプリ 15:00 890m 17:10 C2=C1

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 雨は一晩中降り続き、増水を心配してテントから顔出す。多少白濁しているが思っていたより増水していない。停滞も予想していただけに喜び勇んで出発。このときは雨もやんで歩きだし直後の河原では稜線も望めた。

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 680m二股前から函状となる。写真は680m二股。

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 ここからは滝が連続してくるが、極端に困難なものはない。岩盤状の渓相となってくるが、渓は開け威圧感は少ない。

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 770m二股前の逆くの字20m滝。これは直登不可能で左岸から巻く。

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 水量が少なければもっと直登できる滝も多かっただろうが、この日の水量ではそれは少し難しく、巻き気味に滝を処理する。下山後、他会の遡行した時の写真を見たが、この日の水量はやはりかなり多かった様だ。

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 770m二股上のCSの2段20mの滝は水量もあるせいか豪快だ。これは全くとりつけず右岸から巻く。この沢では巻き道が割とはっきりしている箇所が多く、その様子からそれなりに入渓者がいることが分かる。降り口がやや悪いが懸垂なしで沢に戻る。

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 すぐに出てきたのが「山谷」にも出ている40mの瀑布。豪快で美しい滝だ。右岸をシャワークライムとあるが、この天気では誰もシャワークライムする根性はなく、水流から少し離れた右岸の凹角から取りつく。この辺りから再び雨が降り出す。天気が持っていたのはわずかな時間だった。


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 取りついてる途中で撮った40m大滝の瀑水。最後の抜け口は水流に足を突っ込みながら滝上に。水流が強いので体重の軽いT田が抜け口で足を少し滑らせヒヤッとする。ここでスリップしたら40mグランドフォールしてしまう。滝の登攀は抜け口でもっとも気をつけなければ。

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 40m大滝を抜けると890m三股。ところが僕らはここを920m二股と勘違いし、40mの緩い斜瀑となって注いでいる真中の枝沢に進んでしまう。200mほど登ってから枝沢の入り方が違うので間違いに気付き戻ったがこれで1時間ちょっとは時間をロスした。こういった間違いをすると何年沢をやっているのかと情けなくなる・・・・。沢って難しいぃ。
 ちなみに890三股も快適とはいかないが陣営可能だ。今回の様にピストンしないならここにテンバるのも“手”だと思う。

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 気を取り直して右股へとすすむ。荒涼とした感じだが、本流は正面のガレ手前で左に折れる。ここが920m二股。

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 左に向きを変えて眼前に出てくるのがこの滝。写真では分かりにくいが2段30mの滝。これがこの沢で一番手強かった。下段20mは左岸を直登し中間の狭い釜に上がる。ここで不用意に左岸に取りつくがこれが極端に悪い。雨も強まり、弱気になる。なんとかハーケンを打ちこみ、灌木を掴んでエイっと体を上げた瞬間、灌木を握っている手が滑って、そのままずり落ちた。滑り落ちた距離は大したことなかったが、釜で止まらなければさらに20m落ちるところだった。

 「う~ん、失敗した・・・。」と思い、顔をあげて右岸を見上げるとなんか登れそう。膝を打ったこともあり、ここはkameさんにトップを頼む。カンテ上から草つきに抜けてザイルを投げてもらった。フォローで上がったなかなか草つきに移る箇所が微妙でノーザイルで行かせてしまったkameさんに悪いことをしたなと反省。でも落ち着いて登って行ったkameさんはさすが。

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 2段の滝の処理にも時間がかかり、時計を見ると既に10時半。前半の快調なペースはどこへやら。小振りの滝を越すと20m直瀑。これは右岸から巻くとその奥にも15m直瀑が控え、これも踏み跡をたどってまとめて巻く。

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 ここより上部はガレ主体となる。写真は1180m二股。見落としてしまいそうな出合。頂上西の肩に直接出るためにここを右に入る。
 ここからはガレ主体のはずであったが、1200mほどに少し嫌らしいナメ滝がある。水量が少なければ大したことないと思われるが、小雨で視界も悪いと実際以上に厳しく見える。ルート間違えで体力を消耗したのか、メンバーにも疲労の色が濃い。そういう自分もいつもよりペースが悪い。なんどか現れる二股を半分カン頼みで進むと薄い踏み跡を辿りつつ藪をこぎ稜線に出た。

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 稜線に出てから頂上までは15分ほどだったか。お盆のクマの沢から1カ月足らずのピリカは今日も真っ白。風と雨が強いのも同じだ。時間は13時前。春別尾根下降を期待するメンバーの表情。でも、「さて、沢、下るか!」と言うと、“あ~、やっぱりね”と言った様子。もちろん、この二人なら十分下れると確信しての判断。

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 上部で2回ほどダブルの懸垂をするが、2回目の懸垂を終えザイルを回収してると。「あっ!」とT田。見るとザイルが1箇所表面が擦り切れ、芯が見えている。懸垂の際の落石か、それとも回収しているときに岩角で擦れたのか、つい1か月までに買ったばかりで今回が2回目の使用だったのに・・・・。ショックすぎる。

 降り続く雨に水量も若干増し気味、懸垂に加え緊張感あるクライムダウンが続くが、それでも遡行しているときに下降のルートをイメージしていたので割とスムーズに難しい滝も処理することができた。


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 890mに着いたのは15時過ぎ。ここで最後の休憩。チョックストーンは迷わず息と同じ巻き道を使う。徐々にうす暗くなるが、ビバークの可能性はまずないと不思議な自信があった。結局テン場に帰り着いたのは17時過ぎ。11時間行動にさすがにヘロヘロだが、充実感は格別。
 今夜も焚き火は出来ないが遡下降達成の余韻に浸りながらのウイスキーの味は格別。今年の沢を振り返りながら夜は更けていった。

○9月19日 
7:45 C2 8:40 404m二股 10:00 下山
 
 夜中、滑落したときに打った左ひざが痛み出しなかなか眠れなかった。昨日の疲れもあって、朝は6時起床。ゆっくり準備をして出発。痛み止を飲んで河原を最後尾からとぼとぼ歩く。この日も時折日差しがさすがいまひとつすっきりしない天気。雨の沢も嫌いじゃないが、やっぱり晴れている沢の方が当然好きだ。太陽の光を浴び、キラキラと輝くソエマツ沢をいつか訪れてみたい。
 痛む膝を引きずり2時間少々で下山。10時の下山は早過ぎるかんもあったが、長い帰路を考えればたまにはこういう時間の下山も悪くはない。



~ピリカヌプリ・ソエマツ沢北面直登沢~
 白山社の「日本百名谷」に挙げられているがうわさ通り核心部は短い。正直「!!!」の評価にはちょっと首をかしげる。下りなら「!!!」は間違いなくあると思うが・・・。アプローチがうまくいけば一泊二日でも遡下降は十分可能と思う。水量が少なければ多くの滝が直登できるのでは。北面の沢であるが、開けた明るい渓なので雪渓もそんなに残らないと思われる。

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この記事へのコメント

dz
2014年07月18日 03:13
明日、ピリカ北西面に行きます。本文、写真大いに参考にさせていただきます。2014.7.18
oyama
2014年07月18日 23:08
お、北稜のdzさんですか?楽しい沢旅になるといいですね。天気が心配かな~?
下山したらどんなだったか教えてくださいねー。

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