クマの沢!

○ピリカヌプリ・ヌビナイ川左股川南東面直登沢遡行~ヌビナイ川右股川北面直登沢下降
○2011年8月13~15日
○K村、kame、T田、K股、oyama


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 いよいよ今夏のメインの一つ、クマの沢。久しぶりの「!!!」の沢は近づくにつれほどよい緊張感と期待感を持たせてくれた。メンバーは紆余曲折の結果、○大山の会からK股君を加え、総勢5人。難しい沢を遡行するにはやや多い気もするが、この面子なら問題だろうと判断した。なによりみんな沢が好きで堪らないといったメンバーだ。難しい沢に行くのに技術や経験も大事だけど、一番大事なのは沢が好きな事と自分の知らない世界をもっと覗いてみたいという“探究心(冒険心ともい言うのかな?)”だと思う。

○8月12日
17:40 帯広発 21:20 大樹町 22:30 C0:ヌビナイ右岸林道終点
 今年も十勝は暑い。この1週間仕事にならなかったのは連日の30度越えもあったが、やはり目前に迫ったクマの沢が頭から離れなかったから。昼間っからクマの沢の渓相を思い浮かべてはワクワクドキドキしていた。
 仕事を終え、お盆の帰省客でいつもより込み合う帯広駅にてK股君と合流。さらに大樹町でT田と落ち合う。これでメンバーが揃う。僕とK村さん以外はK股君とは初対面。というわけでC0で顔合わせを兼ねて軽く前夜祭。ビールを飲みつつ、月夜に時折現れる流れ星に明日からの沢旅へ思いを馳せる。

○8月13日
6:20 車止め 7:15 470m 9:55~10:30 586m(トヨニ北面直登沢出合) 12:50 C1(655m三股)

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 朝から快晴。沢日和だ。連日の晴天でヌビナイ川は水量少なめ。今日はゆっくりの出発のはずが皆、気持が早っているのか予定よりだいぶ早い6時半前には出発。車止めからはしばらく退屈な河原をトコトコ。

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 407mから沢らしくなる。綺麗な渓相が続き、泳いだりへつったりと楽しく遡行する。

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 左股沢の下流は本当に美しい。花崗岩の岩盤に透明に澄んだ沢がゆっくりと流れる。

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 やがて目指す日高の稜線が見え出し、10時前にはトヨニ北面沢出合。このままでは昼前にC1についてしまうのでここでしばらく休憩することに。昨日あまり寝れなかったというkameさんは今に横になって昼寝しそう。T田は初めてのヌビナイ左股にすでに感激状態。
 ここまでは北面直登沢に行ったことのある僕とK股君は何度か来たことがあるが、ここからはみんな未知の世界。いよいよクマの沢に突入だ。といってもC1までは特に難しいところはない、はず。

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 沢幅が狭まり、少し行くと直登不能な滝が二つ。これは直登できずそれぞれ右岸から巻く。

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 さらにゴルジュ状が続くと微妙な2m滝。ホールドの乏しい左岸をへつり、水流脇のツルツルの左岸から抜けようとするが、ここが難しい。手掛かりがなく、何度か失敗し、釜にドボーン・・・。しかし最後は執念でK村さんが秘密兵器(?)のスカイフックを使ってクリア!お見事でした~。とにかく今日は時間があるのでなるべく巻きを使わず徹底的に遊ぶ。

 655m三股手前の5m滝は右岸カンテからoyamaトップでザイルを出して処理。後続はプルージック。ややザイルワークに時間がかかる。

 でC1の655m三股に13時前に到着。目指す左股直登沢は中股にあたり、この右岸に快適なテントサイトがあり、タープを張る。あまりに時間が早いので左股にある20m大滝を見物しに行く。

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 これがその大滝。直登不能で巻くしかなさそう。この奥にも90m大滝があるとのことで是非とも見てみたかったが、この滝を処理するだけでかなり時間がかかりそうなので諦めてテン場に戻る。この右股沢をいつか遡行する日が来るだろうか・・・。

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 C1は薪となる流木も豊富。午後からは風が強まり、おかげで焚き火がよく燃える。写真はケツを乾かす二人。明日からは天気も下り坂とのこと。いつから雨が降るのか、核心を抜けるまで持ってほしい。

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 早々と行動を終えたので大滝見学の後はやることなく昼過ぎからウイスキーがザックから出てくることになる。夕飯を食べ終え、まったりした頃、K股君のザックから出てきたのはなんとケーナ!日高の谷に響き渡る笛の音。沢で楽器を持ってきた人を初めて見た。そうとうケーナに凝っているのか皆が寝た後も最後まで焚き火の側で吹き続けていた。結局焚き火の横で僕とK股君がごろ寝して、3人だけがタープ下で寝た。



○8月14日
5:10 C1  5:40 760m二股 6:00~10:00 50m大滝 12:50~13:30 20m大滝 15:00 ピリカヌプリ 16:30~17:00 C2(790m二股) 

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 心配していた雨は降ることなく朝まで焚き火の横で寝れた。タープの下は快適だったようで3人は少し寝坊。核心部を前にずいぶん余裕だな~と感心。予想外の晴れ間が見える中、655m三股を後にする。準備運動に程よい小滝が2,3出てくる。写真の滝は5m直瀑。左岸から巻く。

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 小一時間で760m二股。進む左股は細いゴルジュになっている。“いかにも・・・”と言った感じか。この先どんな渓相が待ち受けているのか。早くもアドレナリンが体を駆け巡る。

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 高い側壁に囲まれたゴルジュを進み沢が左に屈曲して出てきたのがこの50m大滝。この50m大滝は左岸岸壁に良いルートがあると北稜クラブの方から教えてもらっていたのだが、僕はこの滝をその50m大滝ではないと勘違い。しばらく進んでから勘違いに気づき、随分後悔したがもうその時は遅かった。

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 しばらく皆でルートを探す。巻くのは右奥の微妙そうなルンゼを巻くしかなく、時間も体力もかかりそう。K村さんが右岸のクラック沿いのルートを見出し、トップで行く。下はかぶっておりハーケンべた打ちの人口混じりでクラックからバンドに出て稲妻状に上部に抜けたがかなり苦労していた。ちなみに中間に古いリングボルトがあり。後続もかなり苦労し上がっていく。順番に一人ずつあがり、最後に僕の番となり、最初のハーケンにかけられたテープシュリンゲを掴んだ途端、ハーケンが抜けた~。ひえ~と思った瞬間、岩も一部剥がれ落ちる最悪な状況。しばらく新しいルートを探るがなかなか良いルートがない。
 
 上にいるK村さんには声が届かず、ザイルの流れも悪い。仕方ないので僕だけ奥のルンゼを詰めて高巻きに入るが、やはり非常に悪かった。微妙なトラバースを交えてどうにか滝上で皆に合流したのは20分後。皆が心配すると思い猛烈な勢いで高巻きしたが、直登するのと同様にシビアで瞳孔拡大、アドレナリン全開。久しぶりに緊張する高巻きだった。


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 大滝後も息つく間もなく滝が続く、スラブ状の滝(上写真)を超えるとすぐに桶状の2段の滝が待ち構える。先の大滝で4時間近く費やしたとあって、ペースを速める。


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 時間短縮のためにザイルの使用は最小限にとどめたが、お助けロープはかなり多用した。ただ沢自体思ったほど、圧迫感はなく、難しそうな滝も近づいてよくみると直登できるものが多く快適な遡行が続く。写真は25mナメ滝。斜度はないが、ツルツルなのでしっかりフリクションを効かせて登る。


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 やがて滝と滝の間隔が開いてくるが、沢が屈曲するごとに手強い滝が出てくるので気が抜けない、さすがに「!!!」の沢。そう簡単に核心部終わらない。今回は5人パーティーということでいかにスムーズに核心部を遡行できるかがポイントだったが、大滝直後は疲れが見えたkameさんも遅れることなくついてくる。やはりこの2~3年大きな沢を登りこんでいるだけある。むしろ経験の少ないT田をよくフォローしてくれていた。T田も初の「!!!」にややビビり気味にもしっかりと登ってきたし(だいぶお助けロープは出したが・・・)、今回の沢で随分と逞しくなったと思う。今後の活動に注目したい。

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 1000mを過ぎるとガレが目立つようになり、少しずつ緊張感から解放され出す。空は曇り空となり始めたが、まだ雨は降ってこない。

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 T田もいつの間にか沢の雰囲気に慣れたのか余裕な感じ。心配していた雪渓が全くなかったのも今回の遡行がわりとスムーズに行った要因だと思う。雪渓の残り方によってはかなり苦労した報告もあるし。

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 ちなみに『山谷』のカラーグラビアにある滝が1050m二股に出てくるが、拍子抜けするほど小さく、若干かぶっているものの、簡単に直登できた。チョックストンやチムニー状の滝が出てきてワンポイントで微妙な滝もあるが、渓相はぐっと落ち着きもう大物はないのかな~と思っていると、最後に出てきたのが写真の25m。巻くかと思ったが、近づくと何とかなりそう。巻きはあくまで水線を突破できない時の手段として選びたい。
 右岸のクラックから上部につなげるが、最後は微妙。ザイルを付けてトップで行ったが、ハーケンで2か所ランニングをとり最後は水流を絡めながら抜けた。緊張感のあるいいルートだ。途中に残置ハーケン1本あり。そして後続をビレイしてるとポツポツと分厚い雲に覆われた空から雨が落ちてきた。ついに来たか~というより、稜線近くはずっと雨が降っていたのかもしれない。

 これで本当に核心が終わってあとはガレと時々出てくる小滝を超え、やがて沢形は藪へと消えてゆく。急なササを両手で鷲掴みしながら稜線を目指す「労山ファイト!」の掛け声で疲れた体に鞭打ち、ようやくピリカの頂上にたどり着いたのは15時ころ。10時間余りの遡行の末の頂上はやはり別格。雨と風で視界は全くないが、5人全員で握手を交わし健闘をたたえあう。大滝で4時間かかった時はどうなるかと思ったが、これで上二股まで下れそうだ。


 しかし、ゆっくり下っている時間はない。悪天が迫ってきている。携帯電話で天気をチェックすると、前線がちょうど日高の山にかかっている。最悪だ。本降りとなる前に上二股まで下りたい。
 

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  • ピリカヌプリ南東面直登沢

    Excerpt: ルート名 ピリカヌプリ南東面直登沢 距離(km) 0.86 標高差(+m) 69 行動時間(h) 1.5 グレード 函函滝淵淵滑滑滑 出合まではクマノ沢を参照。 出合から陰.. Weblog: オタクは山が好き?~北海道・日高山脈・大雪山系・増毛山塊・ニセコ連峰の沢登り・山スキー~ racked: 2011-08-20 23:35
  • オークリー サングラス

    Excerpt: クマの沢! 日高キチガイ~沢と焚火と雪稜を求めて~/ウェブリブログ Weblog: オークリー サングラス racked: 2013-07-05 21:45